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RPべるぎーの胸の内:障害者と恋愛(2)

前回は、私がとても感情移入しながら観ていたテレビドラマ『美丘-君がいた日々-』(みおか きみがいたひび、以下『美丘』)を通して私が感じたことや考えたこと、「障害者と恋愛」について書かせていただきました。今回も引き続き「障害者と恋愛」について書かせていただきます。

この記事の内容は前回から続いてはおりませんが、よろしければ2020年2月12日掲載の「RPべるぎーの胸の内:障害者と恋愛(1)」も合わせてご覧ください。

重なる姿

私が「障害者と恋愛」と聞いて思い出すテレビドラマに、前回の記事で紹介した『美丘』と並んで『大恋愛〜僕を忘れる君と』(だいれんあい ぼくをわすれるきみと、以下『大恋愛』)があります。

『大恋愛』は、2018年10月~12月にTBS系で金曜日に放送されていた、全10話のテレビドラマです。記憶に異常をきたす若年性アルツハイマー病に侵されていく主人公の北澤尚(きたざわ なお、以下「尚さん」)役を戸田恵梨香さん、そのお相手の間宮真司(まみや しんじ、以下「真司さん」)役をムロツヨシさんが演じており、その物語(脚本)はさまざまな脚本を手掛ける大石静(おおいし しずか)さんの完全オリジナルです。

2018年に放送されたということもあり、前回紹介した『美丘』よりは覚えていらっしゃる方も多いかと思います。なお、以下の内容は『大恋愛』のネタバレを含みますので、ご注意ください。

突然ですが、私にとって『大恋愛』は『美丘』以上に観ていてとても辛くなったテレビドラマでした。『大恋愛』を観ていると、主人公・尚さんの「(若年性アルツハイマー病によって)どんどん忘れていく恐怖」が、私にとっての「(視野が狭まり視力も矯正できなくなり)どんどん見えなくなっていく恐怖」に、「最後は自分のことも分からなくなる」という尚さんの恐怖が「最後はほとんど目(見たいもの)が見えなくなる(かも)」という私の恐怖になるのです。ドラマの中で「怖い」と怯えている尚さんは、まさに私そのものでした。このように、『大恋愛』を観るたびに尚さんの恐怖や不安などのマイナスな感情が、どんどんと私自身のマイナスな感情に変換されていきました。

カミングアウトと覚悟

ある日、いつものように『大恋愛』を観ていると、尚さんが『そのうちアルツハイマー(病)になる』と真司さんにカミングアウトするシーンがありました。尚さんに病のことをカミングアウトされた真司さんは、『俺には親も金も学歴も資格も将来もない。だから、尚が何の病気でも構わない。尚と一緒にいたいんだ』と尚さんに話します。

真司さんが尚さんにどんな返事を返すのか、私はとても緊張しながらこのシーンを観ていた記憶があります。そして真司さんの返事を聞いて、改めて「障害者と結婚することに前向きな方は素敵だな」と思いました。真司さんの言葉の中にあった「お金や将来がないこと」は(人によっては結婚相手として問題になるかもしれませんが)ここでは別として、障害があることを突然カミングアウトされて「何の病気でも構わない、あなたと一緒にいたい」と真剣に、そして真面目に言うことができる人は、なかなかいないのではと思います。真司さんの決断の早さに感動すら覚えました。

そもそも、障害者とお付き合いするには、なぜ覚悟が必要なのでしょうか。2月12日掲載の前回の記事に『覚悟を求められるのでは』と自分で書いておきながら何を言っているんだという感じですが、前回の記事を書いてから「障害者とお付き合いするにあたっての覚悟」とはいったい何なのかを改めて考えてみてはいるものの、なかなか私の中で答えが出ません。真司さんはどんな覚悟をして、尚さんにあのような言葉をかけたのでしょうか。この「『障害者と恋愛』シリーズ」が書き終わるころには、障害者と恋愛・結婚するにあたっての覚悟とは何か、何かしらの答えが出ているのでしょうか…。

つづく

ライター:べるぎー