連載

RPべるぎーの胸の内:視覚障害者の私が内定をもらうまでの話(3)

前回までのお話で無事に内定をもらうことができ、私の就職活動は終了しました。今回は、視覚障害者である私が内定をもらえた理由などについて書かせていただきます。

この記事は2020年1月14日掲載の「RPべるぎーの胸の内:視覚障害者の私が内定をもらうまでの話(2)」のつづきです。まだお読みになっていない方は、上記の(2)から先にご覧ください。

一般枠と障害者枠

一般枠では結果が出ずに悩んでいた私が、競争率の高い憧れの企業(以下、A社)からなぜ内定をもらえたのか。それは、自分の経験や考える未来像を交えながら、A社を通して自分が何をしたいのかをアピールできたからではないかと思います。内定をもらうまでは「何かをつくる企業」という軸しかなく、その企業を通して自分が何をしたいのかアピールできていませんでした。しかし、A社は本当に行きたかった業界の企業だったため、私の熱意が伝わったのだと思います。

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、上記の理由は健常者と変わらないと思います。考えてみれば、障害者枠の選考フローは一般枠とほとんど変わりませんでした。障害者だとしても、就職活動の対策は健常者と同じです。

選考フローに差はなくても、私は障害者向けの就活ナビサイトを活用した障害者枠をオススメします。私の場合、「障害」という色眼鏡を通して私を見てほしくなく、「健常者の学生たちと変わらない選考を受けたい」と思い一般枠での選考に挑戦しました。しかし、障害者枠では、あらかじめ障害者であることを知ってもらった上で面接するためか、面接の場で実際に働いたときのイメージ(できることとできないこと、どんな配慮が必要か)を面接官と共有し建設的な話ができました。私は結果的にリクナビを通して一般枠と同じ選考フローを受けましたが、あらかじめ障害者であると伝えていた安心感は大きかったです。

また、障害者限定のインターンへの参加もオススメです。その理由は2つあります。1つ目は、友人ができたこと。当時は私の周りに障害者がいなかったため、同年代の障害者と就職活動という大変な時期に出会えたことが嬉しかったです。2つ目は、その企業で実際に働く先輩社員の方のお話を伺えたこと。社内環境を聞くことで自分が実際に働くイメージをしやすくなり、とても良い経験になりました。

障害者の強み

視覚障害者の私が内定をもらえた理由について考察しましたが、「自分の障害を受け入れた上で挑戦していたこと」は大きかったと思います。障害があると知ったことでより強まった夢への思いや、みじめで悲しかったり、悔しい思いをしたこと。障害を通して強くなれたり学んだことは、健常者には語れない「障害者であるゆえの強み」です。人それぞれ大変なことは違いますが、障害者は健常者と比べて戦っている土俵も経験値も違うと思っています。

内定後、人事部の方に障害者枠として内定が出たのか伺ったとき、「障害者枠としてではない」とご回答いただきました。とは言っても、企業にとっては障害者雇用も重要なこと。「少しでも仕事ができる障害者を安く(新卒の給料でという意味)雇いたい」というのも本音なのではと私は思っています。もし、そのような理由で内定が出ていたのだとしたら、障害者でラッキーでしたし、A社は憧れの企業だったためWIN-WINの関係かなと思います。

「障害者枠ならライバルが少ないかも…」と考えたことも、正直ありました。実際は業界・業種にもよると思いますが、もしそうであるなら、これも障害者の強みの一つになるのではないでしょうか。

最後に…

障害者枠で選考を受けるには「自分が障害者である」という事実と向き合い、受け入れることが必要です。前述と少し重複しますが、障害者という立場で挑戦することは大切なアピールポイント・強みになります。障害者手帳の所持でまずは障害者であることを受け入れたとしても、履歴書への記入や面接で「障害者である」という事実と再度向き合うことになります。

面接で障害(症状や通院回数など)の話になることはもちろん、私は面接で「見えているのに白杖を使うんだね」と言われたり、「今のようなこと(左記の言葉)を言う人にこれからもたくさん出会うと思うけど、どうする?」と質問されたりしました。(この質問は人間性を試されていたのかもしれませんが…)

障害者にとって就職活動は、自分の障害と向き合い受け入れ、将来を考える良い機会ではないでしょうか。自分の障害と向き合い受け入れることは簡単なことではないと思います。ですが、可能性はたくさんあります。障害者も案外悪くないです!

書きたいことがたくさんあり省略した部分もありますが、健常者・障害者問わず何かを考えるきっかけにしていただけたら幸いです。健常者も障害者も関係なく働きやすい環境が整いますように。

ライター:べるぎー