連載

RPべるぎーの胸の内:視覚障害者の私が内定をもらうまでの話(1)

前回は、視覚障害者となった当時高校生だった私が選んだ進路の話を交え、私の思う「視覚障害者の進路」について書かせていただきました。

視覚障害者も、晴眼者と同じように進路を選ぶ自由があります。もちろん、それは視覚障害者だけではなく、どんな障害者にも言えることだと思います。そして、就職先も進路と同じように、選ぶ自由があるのではないかと思います。

たくさんの選択肢から選ぶことになる就職先。膨大な企業数の中から就職先を見つけるための就職活動で、悩んだりする方も多いのではないでしょうか。健常者ですら悩む就職活動。では、障害者の場合はどのような就職活動になるのか。障害者の就職活動はあまりオープンに話されていなかったり、そのためか知らない方もいるように感じます。

そこで今回は、1人の視覚障害者である私が経験した就職活動について書かせていただきます。

就職活動、解禁

私が通っていた大学では、3年生の6月ごろから大学の就職担当部署の主催で就職活動に関する説明会が開催されるようになりました。私の在学当時は一般的に就職活動が始まるのは12月でしたが、12月の就活解禁までの間に「自己分析」や「業界・企業分析」などをするための準備期間として余裕を持たせるため、半年前から説明会を開催していたそうです。

そんなような話から就職活動に関する説明会は始まり、回を重ねるごとに実用的な内容になっていきました。私も説明会には何回か出席していました。なぜ「何回か」しか出席しなかったか。それは、説明会に出席して話を聞いているうちに、ある迷いが生じたからです。それは、「健常者と同じ一般枠で応募するのか? 障害者枠で応募するのか?」という迷いです。

そんなこんなで迷っているうちに、あっという間に半年が過ぎて12月となり、私の就職活動も本格的に始まりました。

「就活のサイト」と聞いて、みなさんが1番に思い浮かぶのは、『リクナビ』や『マイナビ』などの就活ナビサイトでしょうか。一般枠か障害者枠かで迷っていた私も、「まずは情報収集から」と、リクナビとマイナビの2社に登録しました。

リクナビとマイナビの2社では、企業の情報収集はもちろん、企業ごとに開催される説明会へのエントリーや自己分析のツールを使った自己分析も行いました。また、リクナビが主催する合同企業説明会にも健常者と同じように参加しました。ちなみに、その説明会には補聴器をつけた聴覚障害者の方も参加されていたようです。

(プチ情報:「リクナビとマイナビの2社は一般枠(健常者向け)のみの情報しかないのでは」と思っていませんか? 実はリクナビやマイナビでも「障害者(障がい者)採用」などとワード検索すると、きちんと検索結果が出てきます。私はそうやって、障害者枠がありそうな企業をリクナビやマイナビで探すという使い方もしていました。)

一般枠か障害者枠かで迷った結果、私はとりあえず両方の道から挑戦することに決めました。そう決めた理由は、可能性や選択肢は多い方が良いと思ったからです。

その決定事項をふまえ、私はもう2社の就活ナビサイトに登録しました。それは、『クローバーナビ』と『ウェブサーナ』です。障害者で就職活動をした方なら、聞いたことくらいはあるでしょうか。この2社は、障害者向けの障害者雇用に特化した就活ナビサイトです。

この2社は前述したリクナビやマイナビと同じように、規模は小さいながらも合同企業説明会を開催していたり、企業が開催する説明会やインターンに予約できる機能もありました。(簡単な企業の情報も掲載されています)

私も実際にクローバーナビやウェブサーナがそれぞれ開催する合同企業説明会に参加しましたが、参加していた障害者の方は健常者と変わらないか、それ以上に熱意のある方や意識が高い方が多かった印象です。そして、熱意があるのは主催者側もでした。

ブースから少し離れたところで周囲の様子を伺っていると、「どこかの企業、行きましたか?」などと、スタッフさんがすぐに声をかけてくださいました。
マイペースに企業の話を聞きたい方にとっては少し圧力を感じるかもしれませんが(私はこのタイプでした…笑)、「興味のある企業のブースへ行きたいけれど1人では行きにくい」という方や、「どの企業の話を聞いたら良いのか分からない」という方にとっては、スタッフさんたちが良き相談相手になってくださると思います。

また、クローバーナビ経由では、某企業の障害者限定インターン(1日のみ)にも参加しました。そこでは、7~8人のグループに分かれてプロジェクトを進めたり、実際に障害者雇用で働いている先輩社員の方のお話を伺ったりしました。

視覚障害者の私が内定をもらうまでの話(2)に続く

ライター:べるぎー