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RPべるぎーの胸の内:視覚障害者の私が内定をもらうまでの話(2)

前回は、就職活動が始まってから合計4社の就活ナビサイトに登録したり、企業説明会に参加したりと就活が始まったころのお話を書かせていただきました。今回も前回に引き続き、私が内定をもらうまでのお話を書かせていただきます。

この記事は2019年12月28日掲載の「RPべるぎーの胸の内:視覚障害者の私が内定をもらうまでの話(1)」のつづきです。まだお読みになっていない方は、上記の(1)から先にご覧ください。

結果が出ない…

就職活動を始めて最初のころは「何かをつくる企業」という軸だけ決め、業界を問わず興味のある企業にエントリーしたり、面接を受けたりしていました。私は一般枠と障害者枠の両方の道から挑戦するため、企業探しは主にリクナビ(一般枠用)とクローバーナビ(障害者枠用)を使っていました。しかし、業界を絞らないデメリットに加えて自分の準備不足もあり、なかなか結果が出ないまま月日は過ぎていきました。

夏も近づき就活も終盤に差し掛かると、一般枠では履歴書提出と面接が同日になっていきました。そうなると、必然的に面接で障害者であることを伝える形になるため、障害の話になると面接官にはあまり良い顔をされていませんでした。そして、一緒に面接を受けている健常者の学生たちを間近で見たり、不採用通知をもらうたびに「健常者と同じ土俵では戦えないのでは」と自信を失い、一般枠での応募に限界を感じ始めていました。

内定への道

そんなある日、私が就職活動に行き詰っていると知った友人が、とても素敵な言葉をくれました。それは、「障害は弱みだと思いがちだけど、健常者にはない強みでもあるんだよ」という言葉です。私はその言葉を聞いた瞬間、ハッとさせられました。

夢を諦めきれずに四年制大学へ進学したものの、「大学」という大勢の人たちの中で学生生活を送っているうちに、目の難病だからとできないことが多く感じられたり、配慮してもらうことが増えていったり、周囲の人たちに一から病気のことをカミングアウトしたりと、病気が発覚した高校生活と比べて、みじめで悲しい思いをしていました。そんな私は、いつしか「障害」という言葉に負のイメージばかり持ってしまっていました。しかし、友人の言葉によって、「健常者と比べてできないことやみじめに思うことは多くても、私の障害は私の個性である」と気づけたのです。

私が視覚障害者にならなければ、ロービジョンの視覚障害者の気持ちは想像の域を超えずに理解しきれなかったと思いますし、「ロービジョン」という言葉さえ知らなかったかもしれません。周囲の人にサポートしてもらうことで人の優しさに気づけたり、障害者の目線で物事を考えるようにもなりました。障害者の気持ちは障害者が一番分かる。これは、健常者にはない強みだと思います。たとえ障害によって、みじめで悲しい思いをしたとしても、それも健常者には経験できないことであり、一つの強みでもあるのです。

そう気づかされた私は、一般枠での応募に限界を感じ始めていたこともあり、友人の言葉に背中を押され障害者枠のみから応募することに決めました。また、私は大学で医療機器に関する学問を専攻していましたが、医療機器業界(特に医療機器メーカー業界)は競争率が高く、夢の世界だと思いエントリーすらしていませんでした。しかし、次第に「挑戦せずに諦めるのは、もったいない」という気持ちが芽生え、落とされる覚悟で憧れの医療機器メーカーの企業(以下、A社)に挑戦することにしました。

A社のホームページを見たところ、障害者採用もしていることが分かりました。選考を受けるため、まずはクローバーナビでその企業を探しましたが、検索結果には出てきませんでした。仕方なくリクナビからエントリーすることにしましたが、このとき気になったのは「私が障害者である」ということです。前述した通り、一般枠からの応募では苦い経験をしているため、「何も言わずに健常者と同じように選考を受けて良いものか?」という疑問が湧いてきました。

そこで、リクナビで公開されていた採用担当のメールアドレス宛に問い合わせをしてみると、「障害者のみの選考フローを設定しているわけではないため、そのままリクナビ経由で説明会の予約をしてほしい」と返信が来ました。そして、健常者と同じ選考フロー(履歴書提出・一次面接、自己PR提出、二次面接、最終面接)を進み、晴れて憧れの企業から内定をもらうことができました。それに伴い、私の就職活動は終了となりました。

視覚障害者の私が内定をもらうまでの話(3)に続く

ライター:べるぎー