体験取材

女性が輝くイベント、視覚障害者ネイル体験サロンでみんなHappy!

12月13日(金)、神戸アイセンター・ビジョンパークで、視覚障害者の方を対象にしたネイル体験サロンが開催されました。

参加されたのは見え方もさまざまな8名の女性。中途障害で見えづらくなってからネイルを諦めた方や、先天性で一度もネイルをしたことがない方も。みなさん自分でどこまでできるのだろうかと、最初は少し硬い表情で株式会社TATのスタッフさんによる説明に聞き入ってました。
神戸アイセンター・ネイル体験サロン (株)TATスタッフさんによる説明

ネイルシールであっという間にキラキラの指先

3つのテーブルに別れて座る参加者のみなさん。テーブルには4つの道具が並べられています。
神戸アイセンター・ネイル体験サロン ネイルシール体験講座の道具

①スポンジのような太いやすり
爪の表面を光らせるために使います。

②スティック状のやすり
爪の長さや形を整えるために使います。

③ネイルシール
今回ひとつ目の主役です。

④小さめのボトル
爪の乾燥を防ぎ保湿するためのネイルオイル。

用途をしっかり理解した上でいよいよ体験開始。まずはウェットティッシュで消毒も兼ねて手を綺麗にします。爪の表面に残っている水分や油分を取って綺麗な状態にすることが大事だそうですよ。

最初はやすりの時間。みなさん真剣です。常にスタッフさんが各テーブルについてくれているため、わからないことはその場で質問し放題。安心して爪の形を整えていきます。綺麗に磨きあがった頃には、参加者同士、そしてスタッフさんとも打ち解けて和やかな雰囲気に。
神戸アイセンター・ネイル体験サロン やすりで磨く参加者さんとスタッフさん

続いてはお待ちかねのネイルシール。みなさん思い思いに貼っていきます。ただ爪の真ん中にべたっと貼るよりは、先端部分や甘皮のところに工夫して貼るのが可愛いらしく、意図した場所に貼るのが難しい方もいらっしゃいました。それでもヘルパーさんやスタッフさんの手をお借りしてオイルもつけて全員完成です。
神戸アイセンター・ネイル体験サロン ネイルシールでキラキラの指

みなさん、キラキラの指先に負けないぐらいキラキラの笑顔になっていました。

和気あいあいのティータイムはまさに女子会

この日のイベントは2部構成。みごとネイルシールで華やかになったところで、ブレイクタイムです。テーブルには、美味しそうなお茶とお菓子が用意されました。

準備をしてくれたのはハーバルサロンBell Vie(ベルヴィ)主宰の井口貴子さん。ハーブティーは、アップル・ピーチ・ローズ・ベリーの4種類がブレンドされたもの。飲みやすいようリコリスという甘い植物のハーブも入っていました。
神戸アイセンター・ネイル体験サロン ハーブティーと袋菓子で休憩

ハーブティーとクッキーがさらにリラックスムードを高めてくれたおかげで、大半が初対面であるにもかかわらず、すっかり賑やかな女子会です。それにしても皆さんとても楽しそう。

わたしにもできる!簡単、感動のネイルチップ

後半はユニバーサルデザインブランドsakaeと協力者のネイリストさんたちによる形状記憶ネイルチップの体験です。このネイルチップは、従来のプラスチック製のものとは違ってジェルネイルと同じ素材でできているそうです。なので爪に沿わせると体温でカーブにフィットして隙間が空かないようになっているのだとか。参加者の皆さんも興味津々でネイリストさんの話に集中していました。
神戸アイセンター・ネイル体験サロン sakaeスタッフさんによる説明

もうひとつの特徴はデザインに点字が施されていること。片手の5本分でひとつの単語になるように、デザイナーさんが点字で文字をしたためました。ロービジョンあるあるですが、この日の参加者のほとんどが点字を読めない方でした。いったいどんなお洒落な言葉が隠されているのだろう、とみんなワクワクしながら答えを待っていると、なんとその文字は「い・し・あ・た・ま」

付け方はいたって簡単。専用のグミを爪の真ん中に置いて、フィルムの上から全体に伸ばすように広げていきます。まんべんなくグミが爪に行き渡ったらフィルムを剥がして、ネイルチップをはめるだけ。この時ネイルチップを体温で温めてから付けるのがコツです。

まずはネイリストさんがお手本として参加者の方に付けてくれました。ひと工程ごとにワーッと歓声があがります。付け心地も良いらしく、軽くて違和感がないと大好評。
神戸アイセンター・ネイル体験サロン 形状記憶ネイルチップ(点字ネイル)

ネイリストさんにお手本で付けてもらった後は各自でやってみます。説明されたとおりの手順でみなさん自分ひとりで付けることができました。なお外すのも簡単で、一度外したネイルチップは何度でも使えるので経済的ですね。

sakaeについては、当サイトの過去の記事もご覧ください。
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そこにいるみんなが幸せを感じられた最高の結末

イベントが終わる頃にはとにかく幸せそうな顔・顔・顔。最後の感想も「楽しかった」「自分でできたことが嬉しかった」「磨くだけでピカピカになったのが感動」「これからも自分磨きをしていきたい」「また参加したい」などなど、一様に満足感が伺えるお言葉ばかり。

そして最高のサプライズは、株式会社TATのインターンシップで来られていた大学生さんでした。おそらく彼女はただネイルが好きなだけで、もともとは障害者支援に特別な感情はなかったと思われます。そんな彼女が、視覚障害者と接して、見えない・見えにくいながらもひとつひとつ作業をこなし最後にはキラキラした笑顔になっていくその姿に、大きな感動を覚え号泣したのです。彼女は自分の好きなネイルの仕事を通して、こんなにも人を幸せにできるんだということを学んだのではないでしょうか。それと同時に、そこにいた全員が、障害者と健常者が共生することの意味を、最年少の彼女から教わった気がします。

今回主催されたボランティアグループ・サラダドレッシングでは、今後もさまざまなイベントを企画される予定です。ご興味のある方はぜひホームページをチェックしてみてください。