福祉・支援組織

障害があっても学べる環境を!関西学院大学キャンパス自立支援室

阪急今津線・甲東園駅から続く坂道を登ったところに関西学院大学西宮上ヶ原キャンパスはあります。正門を入って少し歩くとすぐに目を奪われるのがシンボルの時計台。歴史がありながら今なお色あせることのない建物と、それに調和する周囲の木々。こんなキャンパスで学生生活を送れたら楽しいだろうなと思いつつキャンパス自立支援室の事務所を目指します。

高度な専門知識と熱意で学生さんをバックアップ

関西学院大学キャンパス自立支援室。障害のある学生さんに授業や就職の支援をしてくれる部署です。キャンパス自立支援室は総合支援センターの下部組織で、同センターにはカウンセラーの方が生活上の悩みに応えてくれる部署もあります。

今回お話を伺ったのは、総合支援センターの藤田望さんとキャンパス自立支援室の西岡崇弘さん。「うちは支援者の数も少なくて他の大学と比べたらまだまだ」とご謙遜されていましたが、その取り組みや活動内容はとても手厚いものです。

支援内容をご紹介する前に関西学院大学の規模をざっと数字で見ていきましょう。
さすが関西私学の雄、大学全体の学生さんの数は約25,000人。そのうち支援を必要とする学生さんは153人。障害もしくは心身に不調を抱えるこの153人の学生さんを支えているのが、総合支援センターの職員さん(カウンセラー、修学支援・就労支援コーディネーターなど)17人と、実働部隊である学生サポートスタッフさん約200人です。(すべて2019年12月現在)

専門知識を有する職員さんと熱意ある学生サポートスタッフさんの活躍を見ていきましょう。

授業も試験も就職も!あらゆる場面で力になってくれる

支援内容は多岐にわたります。まずは修学支援の場合。例えば視覚障害の学生さんであれば、教材の点訳、拡大、テキストデータ化。それに図書館での対面朗読。ほかにはガイドヘルプや支援機器の貸与なども。
関西学院大学総合支援センター 支援機器(一例)

登録したすべての学生さんがそれぞれの障害に応じた支援をしてもらえます。支援は情報保障だけではありません。地震でエレベータが使用できなくなるケースを想定し、車椅子の学生さんが受ける授業はなるべく1階の教室に変えてもらうなど安全面も考慮しています。障害ごとの支援については、最後に大学HPの当該ページを貼っておきますので、ぜひそちらをご覧ください。

試験や進路についても支援体制が確立しています。特に就職は人生の大きな選択。障害のある学生さんはアルバイト経験が乏しく、働くイメージを持ちづらい傾向にあります。せっかく就職しても合わなくてすぐ辞めてしまったという事例も少なくありません。そのため早くからコーディネーターの方がアドバイスをしてくれたり、学生さんが希望する業界で就労体験できるよう企業に働きかけてくれています。こういった大学関係者の皆さんの努力もあって、近年嬉しいことに、障害のある学生さんを積極的にインターンシップで受け入れようとする企業が増えているそうです。

支援する側も受ける側もともに成長していける

アクセシビリティリサーチと呼ばれる事業も忘れてはなりません。具体的には、バリアフリーマップの作成。支援機器の学内ネットワーク環境下での動作検証。防災対策としての安全な避難方法検討など。さらに学生サポートスタッフさんは、先輩が後輩育成のために、マニュアル作成や支援のコツを教え合ったりしています。
関西学院大学 バリアフリーマップ

職員さんも頼りにする学生サポートスタッフさん。彼らの活躍なくしてこの制度は成り立ちません。昔の時代の文系大学生とは違って(筆者個人的見解)、今の学生さんはとにかく忙しいのだとか。すべての授業をまじめに出席するのは当然のこと、留学やインターンシップも重要なイベントです。そんな中、空きコマを利用して一生懸命サポート活動をしてくれていています。

この活動は支援する学生さんを育てます。1年生で登録した学生サポートスタッフさんが4年生になる頃にはとてもしっかりした姿に。中には卒業後の進路に、支援機器の開発や行政の福祉部門を選ぶ方もいます。見守ってこられた職員さんにとっても嬉しいことでしょう。

また支援を受ける側の学生さんも同様です。障害のある学生さん自らサポートスタッフ養成講座で講師をしたり、バリアフリーマップ作成時には当事者の立場から意見をしっかり伝えていくなど、自己の成長に繋げているのです。

障害のある高校生もまずは大学に相談しよう

支援の手厚さから、学生さんの自立を妨げるのでは?と懸念される方もいるかもしれませんが、ご心配なく。

視覚障害の学生さんで言えば、当初教室移動にガイドヘルプの申請をしていても1~2回で場所を覚え、それ以降終了することも珍しくありません。また自分で拡大読書器や点訳モバイル機器を持ち込んで授業を受けたり、これまで培ってきたスキルやノウハウを生かして自立している学生さんがほとんどです。受けるべき支援と自分でやるべきことの区別はしっかりできています。

最後にキャンパス自立支援室の今後のビジョンを伺いました。それは高大接続。オープンキャンパスだけでなく、高校生に早くから日常の大学の雰囲気や授業を経験してもらいたいとのこと。例えば発達障害・精神障害の学生さんは大人数の場所を苦痛と感じる方も多いです。頑張って合格したのに学校に来れなくなってしまうケースもあります。また視覚障害の学生さんは、座席の配慮だけで大丈夫(一番前の席なら見える)と思っていたのが、大学の大教室と高校の教室ではまったく違うため別の支援が必要になることも。

こういった入学後のアンマッチを防ぐため、できるだけ高校生のうちから大学に来てもらえる機会を増やしたいと考えています。

進学したい障害を持つ高校生にとって、関西学院大学キャンパス自立支援室の取組みが希望になれば幸いです。