福祉・支援組織

さがらしい、やさしさのカタチ「さがすたいる」 視覚障害者にも、みんなにも

いま佐賀県があつい!

か、どうかはわかりませんが、すごい取り組みをしているのは事実です。「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」。佐賀県のこの基本理念を体現化している「さがすたいる」という活動。県と県民が一緒になって人にやさしいまちづくりを推し進めています。

「さがすたいる」ってなに?

「さがすたいる」とは、高齢者も障害者も妊婦さんも子育て中の方も、そのほかどんな人たちもみんな安心して利用できるお店や施設を増やすこと。そしてその情報を多くの人に伝えること。さらに、当事者と受け入れ側の事業者の接点を増やし、互いに理解しあうことで、誰もが外出しやすいやさしいまちづくりをしていこう、というものです。

例えば、お店の前に段差があると入りにくい人たちがいます。その段差を解消するための工事費用を県が負担する補助金制度を設けました。もちろん補助金には上限もありますし、お店をすべてバリアフリーに改装するのは簡単ではありません。「さがすたいる」ではそこから一歩進んで、ハードだけでなく、お店の方たちができる範囲でどんなサポートをしてくれるのか、をわかりやすく発信することに重点をおいています。

「さがすたいる」の神髄は心のバリアフリーなのです。

実働部隊・ユニバーサル社会推進担当

今回お世話になったのは、「さがすたいる」を担当する佐賀県県民協働課ユニバーサル社会推進担当の宮原亨宗(たかとし)さん。県庁の職員さんなのでお堅いイメージを想像していましたが、実際にお会いした宮原さんはまったく真逆の雰囲気でした。

サガテレビで放映中の「Let’sさがすたいる」の番組作りにも、宮原さんの人柄が表れています。これは街で暮らすさまざまな当事者のサポートにスポットを当てたもの。番組は音声ガイドとユニバーサル字幕付きになっているのですが、どうやったら当事者の方にわかりやすく伝えられるか。それを知るために、地域の方で結成されたユニバーサル映画の製作グループに参加して音声ガイドとユニバーサル字幕の勉強をしています。

汗をかいて県民のみなさんと一緒になって作り上げていく。それが宮原さんすたいるです。

「さがすたいる」、4つの事業の柱

では具体的に「さがすたいる」の4つの主な取り組みを見ていきましょう。

①さがすたいるウェブサイト

不便や困りごとを抱えている当事者に配慮した県内のお店や施設を紹介するサイト。どんな設備があるのか、どういうお手伝いをしてくれるのかなど。また当事者が利用した感想やおすすめポイントなども投稿できるようになっている。

②さがすたいる倶楽部

当事者に配慮した設備やサポートを備えている、または備えようとしているお店や施設の集合体。造りはバリアフリーじゃないし福祉に詳しいスタッフもいない。そんなお店でも「笑顔で声かけして何かできることをお手伝いします」それだけで立派なさがすたいる倶楽部。

③さがすたいるリポーター

さがすたいる倶楽部のお店を実際に訪れ、当事者目線で設備やサポートの様子をわかりやすく①のサイトでシェア。当事者としての想いをお店にも伝える。子育てママや車椅子の人たち、視覚障害者の支援に関わる人たちなどさまざまなグループのリポーターが活躍中。

④さがすたいるプラス事業

さがすたいるを更に広げるための取り組み。
バリアフリー化や子どもの受入れ環境の整備をするための「さがすたいるプラス補助金」。VR(ヴァーチャル・リアリティ)装置等による当事者視点の疑似体験を通して理解を深めていくイベント「レッツさがすたいるトーク」の実施。

ほかにも、当事者が講師となってお店や施設の方に配慮ある店づくりの講習をする「さがすたいるゼミ」。ユニバーサルデザイン化促進のために無料でアドバイスを行う「人にやさしい建物づくりサポート相談窓口」の設置。県内の小中高生を対象にしたUDの考え方の出前講座、同じく小中高生からUDのアイデアを募る作品コンテストなど。ありとあらゆる企画を考え実行しています。

これぞ、さがすたいるなお店「カフェフクシア」

ということで、さがすたいる倶楽部の会員店カフェフクシアさんに行ってみました。こちらは前述のテレビ放送の第1回目に登場したお店。その回の放送は視覚障害の女性への応対を紹介する内容でした。

ドッグカフェとして開業したのが4年前。ドッグランが併設されていてワンちゃん連れのお客さんで賑わうおしゃれなお店です。ワンちゃんが来るのを前提としているため、店内はとてもゆったりしたテーブルの配置で、盲導犬はもちろん、車椅子やベビーカーのお客さんも利用しやすい造りになっています。

視覚障害のお客さんを迎えた時の様子を店主の松園由利子さんにお伺いしました。事前にスタッフさんと接客の仕方を話し合っていたそうですが、実際に来られたら緊張しちゃって、と振り返る松園さん。でも接することで勉強になったと言います。

誘導のとき、肘を持ってもらったほうがいいこと。メニューもただダラダラ読むのではなく分類を伝えてお客さんの希望に沿ったものをイメージしやすく伝えること。ふだんは音を立てずに食器を置くが、少し音を立てたほうがわかりやすいこと、など。

もちろん基本的な応対の仕方は押さえつつ、最終的には当事者の方に聞きながらコミュニケーションをとるのが大事だとも。それは障害の有無に関わらずどんなお客さんに対しても必要なこと、と接客のプロらしいご意見でした。

みなさんもぜひ、この犬にも人にもやさしい空間を体験しにきてください。

すべての都道府県に○○すたいるを

2020年1月末時点で、さがすたいる倶楽部のお店や施設は800店。本格的な開始から約2年でこの数字は目を見張るものがあります。それでもまだまだこれからと気合い十分な宮原さん。

「さがすたいる」は他の都道府県の模範になり得ます。すべての都道府県が追随してそれぞれの○○スタイルが確立されたら、視覚障害者も日本中どこででも暮らしやすくなるでしょう。まずは2023年に佐賀で開かれる国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会(現・国民体育大会から名称変更)で全国に広く知られるよう、「さがすたいる」のこれからに期待です。