取材記事

かるがもの会が繋ぐ、視覚に障害をもつママとパパの子育ての輪(後編)

かるがもの会のロゴ

かるがもの会は視覚に障害をもつお母さんお父さんとその家族の会です。

妊娠・出産の準備で不安に思っている方、そして子育てや家族の将来について悩んでいる方。かるがもの会の皆さんも同じように悩みや不安を抱えながら、同じ境遇の先輩や仲間に助けられて頑張っています。会員になってごお話を聞かれてみてはいかがでしょうか?

かるがもの会をご紹介するにあたり、会員の皆さまにアンケートにご協力いただきました。質問1~3の回答を前編でご紹介していますので、未読の方はまずはそちらをご覧ください。

かるがもの会が繋ぐ、視覚に障害をもつママとパパの子育ての輪(前編)

失敗を糧に日々成長する、かるがもファミリーへどうぞ

では前編に続いて、アンケートの質問4と5の回答をご紹介してまいります。

質問4:今だから言える子育てに関する失敗談などあれば教えてください。

・自分が見えないため子どもについて回りすぎて、幼稚園で離れるときによく泣かれた
・同じく必要以上に外の危険性を言いすぎて、子どもが踏切を怖がって渡れなくなった
・子どもに責任を押し付けてしまい悩ませてしまった
(子ども以外のサポーターをつくり解消できた)
・左右色違いの靴下をはかせてしまった
・学校行事のビデオ撮影でよそのお子さんを撮っていた(わが子は手だけ映っていた)
・子どもの病院の付き添いを友人に頼み、病院で子どもが大泣きした
(見えなくとも子どもにとって親は自分だと実感。困らせてしまった友人にも子どもにも申し訳ないことをした)
・しっかりした子で自分でなんでも決めるようになり親に相談することがなくなってしまった
・朝の着替えでスカートを穿かせたあとにパジャマのズボンを脱がせようと思っていたのにバタバタしてそのままパジャマのズボンで登園させた
・ベビーカーに荷物だけ積んで保育園に着いたら子どもを家に置いてきてしまってた
・授業参観で習熟度別の教室に別れていることを知らず娘のいないホームルームで参観していた

お子さんからすると笑いごとじゃないかもしれませんが、いろいろな経験をしながらたくましく育っていかれたんだと想像します。大きくなったときに親子で笑い合えるといいですね。

質問5:もしひとりで悩みを抱えている、妊娠中・出産前・子育て中の方に声をかけるとしたらどんな言葉をいただけますか?

最後の質問に対する回答は、編集なしで生の声をそのままお届けします。

『子育てはどんな人でも試行錯誤しています。私たち障碍者でも、工夫や努力で何とかできています。わからないことなどあったら、一人で悩まず周りの方たちに相談して、いろいろな知恵をもらってください。かるがもの会もそんな団体の一つです。親は子供に愛情をかけて育てさえすれば、後は少し抜けているくらいがちょうどいいのかもしれません。子育てはあなた一人でやろうと思わないで、いろいろな人と一緒に協力しながら育てる方が、子供も柔軟な思考を持て、逞しく育ちます。子供はいろいろな感動をくれる宝です。いろいろなことを学ばせてくれます。子育てができる人生も一つの幸せだと思います』

『かるがもの会にいらっしゃーい!と、お声かけしたいです』

『子育ては、一人で頑張るものでは無いと思います。父親はもちろん、友人や親兄弟、ご近所など、うまく巻き込んで楽しく気軽な気持ちで大変な時を乗り切って下さい』

『子育ては教科書通りにはいきません。その子・その子によって持っているものが違いますし、性格も違います。その時々で、その子に会った絵をかいてのんびり行くことがよいように思います』

『かるがもの会には、出産したばかりの新米パパ&ママさんや、お子さんが成人されたベテランパパ&ママさんが大勢いらっしゃるので、いろいろな悩みを分かっていただけます。
他には、メーリングリストでどんなことでも質問できるし、「相談員」もいるので、
直接話して問題解決することができます。一人で悩まずどしどし入会していただきたいです♪』

『かるがもの会には、成人されたお子さんをお持ちのベテランママさんや、現在赤ちゃんを育てておられるフレッシュママさんもおられます。十人いれば十通りの経験があり、子育ての参考にしていただけると思います。また視覚障害者が子育てをする場合、子供が小さければ小さいほどちょっとした工夫で子育てが楽になることもあるかと思います。当事者同士で悩みを話したりして子育ての苦労や不安を一つ一つ乗り越えていけると思います。そして少しでも子育てが楽しいものになればいいなと思っています』

『見えない・見えにくいというハンディを持った私たちが、子供という宝物を手にすることができた経緯には、 きっと、「ちょっとした工夫」や「想像力のフル活用」があふれているかと思います。そして、その中に「手伝って」という周囲を巻き込む魔法の言葉が 要所要所にちりばめられていたはずです。その魔法の言葉を 同じ境遇を持つママやパパが集まる、このかるがもの会の先輩にも発信してください。きっと、あなたの子育てのお役に立つことでしょう』

子どもは大人が思うより親のことを理解している

子どもは社会全体で育てよう、という考え方があります。残念ながら現在の日本はそうなっていないかもしれません。でもかるがもの会は、困っている人たちのお子さんをみんなで育てていこうとする土壌ができてあがっています。

おそらくそうやって育てられたお子さんたちは、自然と周りへの感謝の気持ちが備わっていくでしょう。見えない・見えにくいにもかかわらず、一生懸命生み育ててくれたお母さんお父さんの背中を見て育ち、その頑張りを理解してくれているに違いありません。