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はる♪の暮らし上達術:第5回 話題のSeeing AIを使ってみたよ

はる♪の暮らし上達術

視覚障害者向けのiOSアプリ「Seeing AI」が日本語に対応したという事で、筆者も早速使用してみました。
SeeingAIアプリメニューSeeing AIは、カメラが捉えた物や人、風景、色などを音声で説明してくれるアプリです。主な機能と実際に使用してみた感想を簡単にまとめてみました。

・短いテキスト

商品のパッケージや看板といった短い文章を確認するのに適した機能です。
郵便物の宛名とお菓子のパッケージをかざしてみたところ、ほぼ正確に認識して読み上げてくれました。

・ドキュメント

書類や説明書などの長い文章を確認するのに適した機能です。
撮影する物の全体がカメラに収まるように音声で案内してくれるのでとても便利です。息子が学校から持ち帰ったA4サイズのプリントを撮影してみたところ、ある程度内容を把握する事ができました。レイアウトが複雑なチラシや雑誌、手書きのメモを認識するのはなかなか難しいようです。

・シーン

カメラで撮影した風景を説明してくれる機能です。
我が家のリビングを写してみたところ、「ソファーとテレビ付きのリビングルーム」と認識していたので、ほぼ正解です!テレビをデスクトップコンピュータと認識する事もありました。おもちゃが散乱した状態の子供部屋を撮影してみたところ、「雑然とした部屋」とのこと。ママがあまり見えてないから散らかしたままでも気付かないだろうという考えはもう通用しませんよ(笑)

また、息子を踏み台の上に立たせて撮影してみたところ、「椅子の上に立っている人」と認識していたので、これは小さいお子さんの様子を確認する際にも使えるのではないでしょうか?大人しく遊んでいるけど何してるんだろう?と思っても、見えにくいとなかなか状況を確認できません。そんな不安をほんの少し解消してくれる機能ですね。

・通貨

お金の種類を読み上げる機能です。
実際に試したところ、紙幣はすぐに認識しましたが、硬貨は認識しませんでした。硬貨は手触りで違いが分かり易いのであえてこの機能に頼る必要はないかもしれませんね。

・人

カメラで撮影した人物の容姿や表情などを説明する機能です。
筆者の顔を写してみたところ、「中立に見えるブラウンヘアの20歳の女性」と認識されました。実年齢よりだいぶ若く認識してくれたのはとても嬉しい(笑)ちなみに笑顔で写ると「幸せそうなブラウンヘアの20歳の女性」と認識されました。

・色

カメラに写っている物の色を読み上げる機能です。
ソファーやテーブル、衣類をかざしてみましたが、どれもほぼ正確に色を識別してくれました。千鳥柄のカーテンはマルチカラーと読み上げていました。柄物の判別は今のところ難しいようですね。

・ライト

明るさを音階で表現する機能です。
光が強くなるにつれて高い音が鳴ります。これは感光器のような機能ですね。盲学校に在籍していた方はご存知かもしれませんが、感光器は理科の実験で光の強さや色の変化を確認するために使用する機器です。もちろん感光器ほどの性能はありませんが、部屋の照明が付いているかどうかを確認する際に役立ちそうですね。

その他の機能

・製品

バーコードを読み取り、製品の詳細情報を表示する機能です。
残念ながらまだ日本語には対応していないとの事なので今後に期待です。

・写真の参照

スマートフォンに保存してある写真や画像内のテキストを説明する機能です。
筆者は友人からLINEなどで送られてきた写真にどんな物が写っているのか、またスクリーンショットで撮影した画像内のテキストを確認する際に使用しています。

・Siriショートカットの構成

アプリの操作を音声のショートカットとして設定し、Siriに話しかけることで設定内容を呼び出せる機能です。
筆者は短いテキストと色を認識する機能をショートカットに設定しています。

設定方法は
①メニュー画面の設定をタップ。
SeeingAIメニュー画面の設定

②Siriショートカットの構成をタップ。
SeeingAI設定画面

③ショートカットに登録したい機能をタップ。
SeeingAIのSiriショートカット画面

④When I Sayの下にSiriに話しかける際のフレーズを入力します。
SeeingAIのSiri話しかける画面
色を認識する機能を登録する際は、「これ何色?」と入力しておくと分かりやすいと思います。

⑤Save Shortcutをタップして設定完了です。
SeeingAIのSiriショートカット保存
あとは、Siriに「これ何色?」と話しかけるだけで簡単に色を認識する事ができます。

こんなに多機能でクオリティの高いアプリが無料でいいの?というのが正直な感想です。文字認識アプリといえば、Envision AIが有名ですよね。筆者はまだ使用した事がないので比較はできませんが、個人的にはSeeing AIでも十分かなと思います。

このようにAIを始めとするテクノロジーの進化は私たち視覚障害者の生活をより快適にしてくれています。まだまだ課題はたくさんあるとは思いますが、見えにくいからと諦めかけていた事がスマートフォン1つで解決できるようになってきているのは喜ばしい限りです。

ライター:はる♪