連載

なみの全盲ありのままライフ:楽しい盲学校生活のちょっとした地獄…(笑)

盲学校。それはちょっと不思議な世界。
私はそこで、12年間過ごしました。さまざまなことを経験しました。いっぱい学んで、いっぱい遊んで。時にはいたずらもして。それはもう充実した日々でした。

さて、そんな盲学校生活についてこれから少しずつ書いていこうと考えているのですが、今回は私の一番苦手だった授業「体育」のお話しです。

盲学校の体育の授業

私が盲学校に入学したのは、今から25年前のこと(わあ、そんなに前だったか…)。そのときに驚いたのは、とにかく人数が少ないということでした。

私のクラス、なんと私一人だけ!

「友達100人できるかな」なんてワクワクしていたのに、クラスメートは0人ですよ0人。悲しい。まあ、学年が上がってから二人のクラスメートができ、ちょっとにぎやかなクラスにはなったんですけどね。それでもやっぱり寂しい感じはありました。そんな状況だったので、体育の授業はほかの学年と合同で受けていました。

私がよく覚えているのは、中学・高校時代の体育です。中学1年生から高校3年生までの生徒が集まっての授業。

走ったり腹筋したりとウォーミングアップをした後、さまざまなスポーツに取り組みました。グランドソフトボール(視覚障害者の野球)とか、フロアバレー(視覚障害者のバレー)とか、サウンドテーブルテニス(視覚障害者の卓球)とか。柔道や水泳、山登りなどもしました。

私はどれもダメだったけど…

結構動きの激しいスポーツもあり、私は本当にどれもダメでした。ぼーっとしてるせいかなあ。いつも先生に言われていたんですよね。「補習よ!」って。あの先生の声、今でも鮮明に覚えています。だから私にとって体育といえば、「魔の授業」でしかなかったわけです。
(体育の先生ごめんなさい)

でもね、ちょっと力を入れて取り組んだスポーツもあるんですよ。実は私、こう見えても(どう見えるかわかりませんが)野球部に入っていたことがあるんです。高校3年生になってから3ヶ月だけですが。何を思ったか急にやってみたくなったんですね。自分でも不思議。もちろん全然うまくはなりませんでしたが、なかなか楽しい3ヶ月でした。そんなわけで、体育でもグランドソフトボールのときは張り切って頑張りました。時にはバットがボールにいい感じで当たることもあって、あの心地よさはたまりませんでしたねー!

それに体育って、ほかの授業とはちょっと違う「みんなでワイワイ」といった雰囲気があって、そういうところは結構好きでした。ほかの学年の友達や先生といっぱい話ができる、そんな時間でもあったんですね。

あと、ボールたちの音も好きでした。鈴の入ったボールやメロディボール(たたいたり転がしたりして衝撃を加えると一定時間音楽が流れるボール)など、音の出るボールが使われていたんです。特にメロディボールが私のお気に入りでした。『Hey Jude』とか『Yesterday』とか流れるんですよね。もしかしたら、私にビートルズの曲を初めて教えてくれたのはこのメロディボールだったかもしれません。

あれは地獄だった

そんな体育の授業の中で何よりも印象に残っていること。それは持久走。持久走の季節になると、ただでさえ好きではない体育がさらに嫌になったものでした。20分間走り続けなければいけないなんて…。

全盲の私は先生と一緒に走っていたわけですが、ずっと先生に見られている感じで、常に緊張感があったんですよね。あの20分間は本当に長かったなあ。走ることを楽しいと感じたことのない私にとって、あれはもうただただ疲れるだけの地獄でした。

でも今ならわかりますが、きっと持久走は、私に大切なことを教えてくれていたのでしょうね。何といっても、人生そのものが持久走みたいなものですからね(笑)

ライター:なみ