連載

なみの全盲ありのままライフ:漢字書けるもん

結婚して一番大きく変わったこと。それは何と言っても苗字です。苗字が変わるって、ちょっとした憧れではあったものの、何かと面倒。慣れるまでは変な感じするし。

だけど一つだけ、よかったことがあったんです。それは、苗字が自分で手書きできるようになったということ。まあ旧姓も自分で書けないことはないのだけれど、ちょっと怪しかった。でも今の苗字「山田」なら自信を持って書けちゃうんですよー!

私は点字使用者で、漢字はあまり知りません。でも漢字は今、私の生活に欠かせないものとなっています。ということで今回は、「生まれつき全盲の私と漢字」のお話です。

盲学校で漢字の勉強

小学生のとき、盲学校で漢字の授業を受けました。先生と1対1で。

立体コピー(専用の用紙に熱を加えて、書かれている文字や絵を立体的に浮き上がらせたもの)で作られたカードなどを使って漢字の形を覚えたり。レーズライター(視覚障害者が図形などを書くときに使う道具で、シリコンシートの上に置いた専用の用紙の上からボールペンで描くと描いた部分が浮き上がるというもの)を使って書く練習をしたり。結構たくさんの漢字に触れていたと思います。もうほとんど忘れてしまいましたが。

私は「漢字の読み書き?そんなん必要ないのになんでこんなことせんといけんの?」とか思っていて、全然やる気になれず…。ダメな子でした。それでもどうにか、簡単な漢字は習得しましたよ。「山田」はばっちり書けます(下手だからあんまり披露したくはないけど)。

漢字の授業と言えば、ある日の出来事が印象に残っています。「林」という漢字を習ったときのこと。先生にこう言われたんです。「木が二つで林になります。じゃあ森はどうなると思う?書いてみて?」。

私は考えました。「森には木がたくさんあるから、きっと三つだな」。そう確信して、張り切って書いたわけです。で、それを先生に見せたら… 大笑いされてしまいました。。私の書いた「森」という字、木が三つ横に並んでいたんです。

笑われたとなれば、今の私ならちょっとおいしいぐらいに思うところなんだけど、当時はそうはいかず…。ショックでした。もちろん先生に悪気がないのはわかるんですが。「間違える」ということがとにかく苦手な子だったんですよねー。おかげで私にとって「森」は忘れられない文字となりました。

同音異義語・同訓異字に戸惑う

それから数年経って、私はさらに漢字と深く関わるようになりました。パソコンを使って文章を書き始めたからです。点字ではない、もっと多くの人が読み書きしている文字を、自分も使うことができる。これはうれしいことでした。

ところが、困ったことが。変換キーを押すと、読み上げソフトが候補の漢字を説明してくれるのですが… その候補がまあいろいろと出てくるわけです。日本語には同音異義語や同訓異字が数えきれないほどあるんですね。日本に生まれたことを後悔したくなるくらい。

例えば「きわめる」だったら、「極める」「究める」「窮める」と三つも出てきます。どれを選べばいいかわからずパニックです。

そこで、ネットで検索してみたんです。やっぱり困ったときはGoogle先生に聞くのが一番ですからね。そうしたらたどり着いちゃったんですよ。面白いサイトに。

同音異義語や同訓異字の使い分けについて、楽しく丁寧に解説してくれているサイトなのですが… その使い分けというのが何とも微妙。わかりにくい!でもそこが面白かったんですよね。日本語って奥が深いなあと感激しました。このサイトのおかげで、同音異義語や同訓異字に関する知識はかなり深まったと思います。

誤変換を0に

私は今、テープ起こしの仕事をしています。正しい表記が求められる仕事なんですよねー。
誤変換がないかどうかは、できる限り入念にチェックするようにしています。

たくさんの漢字を知っているわけではないけれど、漢字がいかに大切なものであるかということは、これまでの経験からよくわかっているつもりです。

漢字を究めるのに困難を窮めている私だけど…
正確さを極めた文章が書けるように頑張ろう、と思っているところです。

ライター:なみ