連載

RPべるぎーの胸の内:障害者と恋愛(6)

ある日、私が設置していた質問箱(質問を募集するサイト)に、こんな質問が届きました。

"恋愛や結婚について考えた時、病気が理由で諦めることはありますか?"

今回はその質問に対する回答を含め、視覚障害者である私の恋愛や結婚に対する向き合い方について書かせていただきます。

諦めるべきなのか

私は約30年の人生の中で、恋愛に関して病気が理由で諦めたことはありません。好きな人には「好き」という気持ちを表し、伝えてきました。もちろん想いが届かないこともありましたが、それは病気のせいではありませんでしたし、「病気があるからだ」と思ったこともありませんでした。「病気で相手に迷惑をかけるかもしれないから、気持ちは心にしまっておこう」と考える方もいると思いますが、私はそう考えて気持ちを心にしまった経験はありません。そのような経験がないのは、病気が原因で相手から拒絶されることがなかったからかもしれません。とてもありがたく幸せなことだと思います。ただし、お付き合いを続けていくうちに「将来、目が見えなくなる可能性がある私なんかよりも、もっと良い人が…」と不安になることはたくさんありました。その不安から、お付き合いしている方に「こんな私で良いのか?」と何度も確認したり。ちょっと面倒くさい人ですね(笑)。そうしてお付き合いを続けていくうちに、「結婚」が視野に入ってきます。恋愛に関しては諦めたことがない私も、結婚に関しては乗り越えるべき壁が大きく、諦めも出てきてしまいます。

私の出した答え(前半)

質問をいただいた当時は結婚を完全に諦めたことはなく、「諦めたほうが良いのだろうな」と思う程度でした。それは、障害がなければ懸念しなくて良いことが理由で結婚が遠のき(前の記事をご参照ください)、その後も何も進展がないままお付き合いが続いていたからです。「結婚はできない」と言われたにもかかわらず、私はまだ彼との結婚を諦められていませんでした。発病のメカニズムによっては子どもに遺伝する可能性もある病気のため、子どもを授かりたいならば相手の了承だけではなく、相手のご家族の了承や理解が必要になる。それでもなんとか相手のご家族も説得できるだろうと思っており、完全に心は折れていませんでした。当時の回答も『もし今の彼と結婚できないことになったら(別れたら)、きっと私は病気のせいにすると思います。そうやって病気のせいにして諦める。もしかしたら、そのとき初めて「病気が理由で諦める」のかもしれません。』というものでした。しかし、何年経っても彼の気持ちは変わらず、私は病気を理由に彼との結婚を諦めました。諦めたのは、彼となら結婚しなくても良いかなと思えたのも理由の1つですが、私の病気を起因とする壁は大きいだけではなく、多かったのです。さすがにもう完全に心が折れてしまいました。

恋愛や結婚の話に関しては私なりにとても悩んできましたし、今でも悩むことです。特に結婚・出産適齢期と言われる年齢になると、なおさら悩みます。年齢を重ねるにつれて人生の岐路も増えるからこそ他人と比べられたり、「結婚することが幸せ」という風潮がまだ消えておらず、家族など周りからの圧力もある。周りの友だちが羨ましく輝いて見える。でも、そうやって誰かと比べている自分も嫌で。「障害があるから今の私がある」と思っているのに、どこかで「障害がなければ周りの友だちたちのようになれるかもしれないのに」と考えてしまう自分がいて嫌になる。「障害さえなければ」なんて、今の私を否定している言葉です。でも、それが本音だったりもする。友だちと自分は違うということは分かっていても、違うからこそ羨ましく輝いて見えるのです。ない物ねだりなのかもしれませんね。

(続く)

ライター:べるぎー