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なみの全盲ありのままライフ:「わからない」を卒業したい

突然ですが、ちょっとぼやいちゃっていいですか?私ね、本当にわからないことが多いんですよねー。どうしましょう。

生まれつき全盲で、気が付けばもう全盲歴は30年以上。全盲ライフの歩き方については結構詳しくなったつもりです。それでもまだまだわからないことだらけで困るんですよ。今回はそんなことについてお話しします。

触れないものがわかりにくい

私はこれまで、視覚以外の感覚と乏しい想像力を総動員して、いろんなことを理解しようとしてきました。だけどそれって、なかなか難しくて…。

触れるものなら問題はありません。思いきり触ればいい。でも残念ながら触れないものもあるわけで、そういうものについては勝手に想像を膨らませるしかないんですね。

特に子どもの頃。私の頭の中には不思議な世界が広がっていました。例えば空は形のあるもの。手を伸ばせば触れるもの。そんな感覚があったんです。言葉による説明だけで理解していて、適切なイメージができていなかったわけですね。

色がわかりにくい

色というのもわかりにくいものです。色っていったい何なのか。わかるようでわからない。何がどんな色をしているのかというのも、実はちゃんと理解できていなかったりするんですよね。

全盲の友人が、「キツネは赤で、タヌキは緑だと思い込んでた」と言っていました。確かにそういうことってあるんですよー。CMって耳に残るし、信じちゃう。

もう色なんて知らない。どうでもいい。と思うときもあるんですが…
それでも全く色と関わらないわけにはいかない。「赤は熱い感じ」とか、頑張って自分なりにイメージするしかないわけですね。

表情や動きがわかりにくい

人の表情や動きというのもわかりにくくて、よく悩まされます。言葉以外の方法で何かを表現するって大切なことですが、私にはなかなか理解できません。

以前「バイバイ」と手を振っていたら、「えー……?」って反応をされたことがあります。私の手の振り方に問題があったようで。バイバイって一般的には手を左右に振るものですよね。でもどういうわけか、私は前後に激しく振っていたんです。

たまにそういうことがあるので、人前に出たときなどは軽くビクビクします。何か変なことしてしまわないかなと。みんなはどうしているのか。それを確かめることができればいいのですが…。

わからないことは本に聞く

こんなふうに、私にはわかりにくいものがたくさんあります。だから私、「わからない」を卒業するためにしていることがあるんです。それは読書。読書は最高ですよ。

読書の何がいいのか。いいところはいろいろありますが、私にとって大きいのは、「本の世界では見えないものは何もない」ということ。

小説など読むと、登場人物の表情とか景色とか、全部わかるんです。
「人はこんなときこういう動きをするんだ」と勉強になったり。
「人はこんなふうに人を見てるんだ」とちょっと恐ろしく感じたり。
「人はこんなところまでしっかり見てるんだ」と驚いたり。
そんな発見があって面白いんですよね。

本を読むと幾つもの人生を疑似体験できるといいますが、本当にそうだと思います。実際にはできないことができちゃうんです。これってすごいこと!

発見の可能性がいっぱい

いろんな経験をする中で、私の「わからない」は少しずつ減ってきていると思います。だけどたぶんこれからも、「やっぱりわかってなかった…」と感じることは数多くあるはずです。的外れな想像をしながら会話して、アンジャッシュのコントみたいなすれ違いを生む。そういうことを何度もやらかしてしまいそう。

でもね。わからないことがいっぱいあるということは、新しい発見の可能性がいっぱいあるということ。そう思ったらワクワクするじゃないですか。

だから皆さん。もし私が変な行動をとったりしているのを見かけたら…
そのときはぜひぜひ教えてくださいね。こっそりと。

ライター:なみ