レクリエーション

見えない見えにくいおしゃれ女子たちの毎日を楽しくするJBB

視覚に障害があってもお洒落をしたいし、可愛いものを使いたい。そんな女子たちの声に応えるのが、一般社団法人日本視覚障がい者美容協会(Japan Beauty Blind 以下、JBB)です。

JBBでは、見えない見えにくい女性をいろんな方法で輝かせてくれます。たとえば出張ネイル、ビデオ通話でのメイクレッスン、同じくファッション指導、月に1度の買い物イベント。とにかく盛りだくさんです!

ネイルさせてください!

JBBの代表を務める佐藤優子さん。ご自身は晴眼者で、数年前まで視覚障害者とは縁もゆかりもない人生を送ってきました。

脱サラ後ネイリストに転身して驚いたのが高齢者の爪の状態。水分を失い固くなった爪は自分で切ることができません。だったらと老人ホームに出張ネイルのボランティアで訪問することに。そこで知ったのが年を重ねると人は目が見えにくくなるという事実。

世の中の目が見えない人はどうやってネイルをしているのだろう。疑問が湧くと行動せずにはいられない性格です。すぐにネットで検索し、たまたま当事者団体のイベントがあるのを発見。乗り込んで「視覚障害者の方にネイルをさせてください!」と直談判しました。

こうしてはじまった視覚障害女性との交流。彼女たちへのネイルの施術を通してわかったのは、こんなにも必要としている人がいるということ。そして、こんなにも取り残されている人がいるということ。

若い女の子でも、メイクをしていない子もたくさんいました。みんな本当はファッションや美容に興味があるのに、手段がなかったり一度失敗して嫌な思いをしたことで、ノーメイクに地爪で生活しているのです。

それいいね、と言われよう

最初は見えない人のネイルだから、触ってわかるものがいいと考えていました。が、それは違いました。彼女たち自身は見えなくても、第三者の厳しい目にどう映っているかが大事なんだ、と。

例えば結婚式に参列するときに相応しいのはどんなネイルか。オフィスではどうか。音楽活動でステージに立つときはどうか。そこでバッチリ決まっていると、他人の目を通して「あ、今日のわたしいけてる」と実感できます。なのでまずは依頼者に用途を確認し、それぞれのシチュエーションに相応しい提案をしていきます。

佐藤さんにとって何より嬉しいのが、職場でその服とネイル合ってるねと言われたとか、ネイルをきっかけにママ友の輪に入れたと喜ぶお客さんの話を聞くことです。

買い物って楽しいものなんだ

JBBの主な活動のひとつに、月1回のマルシェがあります。マルシェとはフランス語で市場の意味。オープンカフェなどを借り切って、アクセサリーや下着、靴など女子が大好きなショップに出展してもらいます。

視覚障害者を対象としたこのイベントは毎回大盛況。人が集まりすぎてクレームになったことから今では参加費制にするほどです。

大勢の人が集まってくれるのには理由があります。本来楽しいはずの買い物。棚に並んだ商品をあれこれ見ながら、見たことないものを発見して思わず手を伸ばす。たまには無駄なものを買ってしまうこともあるけれど、それもまた買い物の醍醐味。ところが見えない人にとって買い物は、決まったものだけを買いに行く、単なる作業になりがちでした。

宝物探しのような陳列になっているアクセサリーショップや雑貨店が、もっと視覚障害者にも楽しめる場所になれば。そんな願いから誕生したマルシェ。受け入れ側にバリアがなく、自由に触れていろいろ説明も聞ける。訪れた人たちは大満足で気付けば爆買いしてしまってるようです。

チャンネルフォローをお願い

いま一番新しい試みが「音で読めるファッション雑誌」。voicyで毎週火曜と土曜に配信されています。(voicyについては、弊サイト・はる♪の暮らし上達術:第11回 Voicyのお気に入りチャンネルを探してみませんか?をご覧ください)

最近の女性ファッション誌の付録はとてもクオリティが高いそうです。以前佐藤さんがそのことをメルマガで紹介したところ大きな反響がありました。ただ一方で悲しい話も耳にしました。付録だけを手元に残して、雑誌は読めないから捨ててしまったという人たちがいたのです。

ファッション雑誌を読めない人にもわかるように情報を伝えたい。そう思った佐藤さんにvoicyのパーソナリティになれるチャンスが舞い込んできました。voicyは人気のプラットフォームのため簡単にはチャンネルを持たせてもらえません。しかし面接で佐藤さんの本気度が伝わり、1万人フォロワーを目指すならということで見事採用されたのです。

見えてるために伝えそびれたり、語彙力がなくうまく説明できなかったり。慣れない現状では何度も録り直して1日がかりになることも。それでも必要としてくれる人のために悪戦苦闘しながら収録しています。ぜひフォローのご協力をお願いします。

諦めないで

佐藤さんに視覚障害者がおしゃれを楽しむためのアドバイスをお願いしたところ、返ってきた答えは、諦めないこと!でした。

同じ悩みを持ってる人が周りにいないとか、こんなことを聞いていいのか、と諦めてる人が意外に多いそうです。でも諦めないで欲しいと連呼する佐藤さん。それは佐藤さん自身がここに至るまでに厳しい批判を受けても諦めなかったから。

最初視覚障害者にネイルをすると言った時、周りの反応は冷たいものでした。自分の技術に自信がないから、見えてない人だと適当でいいと思ってるんでしょ?とか、障害者相手にお金を取るつもり?など。それでも佐藤さんは、純粋に視覚障害者におしゃれを楽しんで欲しいという思いで踏ん張ってきました。それに良いサービスを提供したいからボランティアではなく料金もいただくのだと。だから当事者にも諦めないで欲しいのです。

これからも諦めない佐藤さんのチャレンジは続きます。全国のネイルサロンや美容室、ショップ店員さんに視覚障害者対応の教育を提供するビジネスを立ち上げます。もっともっと視覚障害者に適切なサービスができるお店を増やすために。

さらにその先の大きな夢が、地元埼玉に視覚障害者だけで運営するカフェをオープンすること。ハードルは高くても佐藤さんの辞書に諦めるという文字はありません。