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はる♪の暮らし上達術:第14回 方向音痴にさよならできる、振動コンパス

はる♪の暮らし上達術

スマートフォンの普及により、私たち視覚障害者も地図アプリの音声ガイダンスを使用して外出する機会が増えてきました。過去の記事でもGoogleマップの音声ガイダンス機能についてご紹介しております。筆者自身も初めて行く場所でもほぼ迷わずに辿り着く事ができるようになり、単独での外出に対する不安が軽減されました。

全盲の友人数名にGoogleマップの音声ガイダンス機能について尋ねたところ

音声ガイダンスは分かりやすいけれど、慣れない場所だと自分がどの方角を向いているのかが分からない

という意見が多かったです。

たしかに、晴眼者や筆者のように視力が多少残っているロービジョンの方はスマートフォンの画面を見て進行方向を確認できるので問題ありませんが、全盲の方は「北に進みます」と言われただけでは分かりにくいかもしれませんね。SNSでも方角が分からない時はどうしたらいいのか?という投稿を何度か見かけた事があります。

そこで今回は、簡単に方角を確認する事ができるアプリ「振動コンパス」についてご紹介いたします。

「振動コンパス」とは?

振動コンパスのアプリメニュー

「振動コンパス」は、福祉機器やアプリの開発・販売を行う株式会社アメディア(東京都練馬区)が提供しているiOSアプリで、方角を音声と振動で知らせてくれます。iOS7 以上がインストールされたiPhoneで使用できます。iPod Touch のように電子コンパスが内蔵されていないiOSデバイスでは使用できませんのでご注意下さい。

「振動コンパス」でできる事

振動コンパスの北を示す画面

①音声で方角をお知らせ

スマートフォンの先端がどの方角を向いているのかを音声でお知らせします。
方角は8方位で表示されます。
表示された方角を音声で確認するには iPhoneのVoiceOver機能をONにして使用してください。

②振動で北方向をお知らせ

スマートフォンの先端が北方向に向いた時に振動でお知らせします。
北方向に向けても振動しない場合は、設定→サウンドと触覚からバイブレーションがONになっているか確認してください。

iPhoneのサウンドと触覚画面

使い方

ホーム画面からアプリを起動し、方角を確認したい方向に iPhoneの先端を向けます。あとは画面をタップするだけで方角を音声でお知らせします。画面をダブルタップすると、その時点の方角でコンパスを固定できるので、自由な体勢で方角を聞く事ができます。

解除する際は、もう一度画面をダブルタップしてください。

※方角を確認する際は、iPhone をなるべく水平に持ってください。
※家電製品や金属製品など強い磁気を発生するような物から離れた場所で使用してください。

おわりに

他にもいくつかのコンパスアプリを試してみましたが、「振動コンパス」はVoiceOverに対応していますし、細かな設定もないため、1番使いやすいと感じました。様々な機能を兼ね備えた万能アプリもたくさんありますが、このようにシンプルなアプリはスマートフォン初心者や障害をお持ちの方、高齢者にとっても使いやすくて良いと思います。

今回のように全盲の友人から言われて気がつく事は意外とたくさんあり、日々学ぶ事ばかりです。自宅で過ごす時間が多くなっているので、この機会に筆者も友人のようなiPhoneマスターになれるよう勉強に励みたいと思います!自由に外出できずストレスを抱えている方も多いかと思いますが、少しでも楽しみを見つけて心身共に健康で過ごせますように。

ライター:はる♪