取材記事

シオノギヘルスケア×エクスポート・ジャパンのコラボレーションから生まれた画期的な窪み

新セデス錠の新しいパッケージ

セルフメディケーションという言葉をご存知でしょうか。ネットの情報によると、

セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関(WHO)は定義しています。

引用元:くすりと健康の情報局

だそうです。すなわち、ちょっと体調がすぐれないなと思ったときに、すぐ病院に行くのではなく、身体を休めたり栄養のある食事をとったり薬局やドラッグストアで販売されている市販の薬を飲むなどして回復に努めましょう、ということになります。

なぜこのような話を持ち出したのかと言うと。これまでやっかいだった視覚障害者にとっての薬の扱い。これが大きく前進する可能性があるからです。

視覚障害者を取り残さない大胆な変更

見えない見えにくい人たちにとって薬を購入したあとの管理って大変ですよね。どれがどの薬だっけ?これは1回何錠飲むの?飲むのは食前?それとも食後? 購入直後に自分なりの工夫をしておいたり、便利グッズや文字認識アプリなどでパッケージの説明文を読むこともできるけれど。もっと楽にならないかなぁ、と思っている人も多いでしょう。

この視覚障害者の困りごとを解決してくれるのがシオノギヘルスケア株式会社の「セデス」シリーズ、新パッケージです。みなさんにも親しまれているあの解熱鎮痛薬。今回のリニューアルで特徴的なのは次の3つ。

①前開きの形状と文字拡大による外箱デザインの改良

②視覚障がい者・外国人対応の「アクセシブルコード」を導入

③直感的に効能を伝えるピクトグラムを採用

 

なかでもアクセシブルコードは、医薬品パッケージとしては世界初。スマホでQRコードを読み取るだけで、用法用量など必要な情報をすべて音声で聞くことができるのです。セルフメディケーションが進む中シオノギヘルスケアの今回の取り組みは、視覚障害者が取り残されないためのとても意義深いものになるでしょう。

3つの特徴の詳しい内容については、この記事の最後にプレスリリースの案内を掲載しています。ぜひそちらでお確かめください。

手掛けたのは多言語情報発信のスペシャリスト

「セデス」シリーズに新しく加わったアクセシブルコード。開発したのはエクスポート・ジャパン株式会社。多言語での情報発信やソリューション事業をおこなっています。たとえば日本語で書かれたパンフレット。そこに同社のアクセシブルコードを付けてスマホで読み取れるようにすると、そのスマホの設定言語(外国語)に変換して表示してくれます。

このシステムは多言語変換するだけでなくもともと音声機能も備えていました。そのことから視覚障害者にも役立てられるのではと「セデス」シリーズへの導入に繋がったのです。

アクセシブルコードを読み取って開いたページには音声再生ボタンが付いてます。しかしVoiceOverやTalkBack(視覚障害者用の音声読み上げ機能)を使用している場合、スマホの機種とブラウザの組み合わせによって、 ページ内の再生ボタンが押せなくなるケースがあります。

対策として、エクスポート・ジャパンが提供しているVIPコードリーダーという視覚障害者に特化したQRコード読み取りアプリを使用していただくか、あるいは音声再生ボタンを押さずに、ページ内のテキストをそのままVoiceOverやTalkBackでお読みください。

再生ボタンで流れる音声はページ内のテキストを機械で自動合成しているので、内容はまったく同じです。さらにこの音声は視覚障害者以外のかたが聞くことも考慮して自然な聞き心地の速度で固定されています。速い速度で聞き慣れているかたは、テキストデータをご自分に合ったスピードでお聞ききいただくほうが快適だと思われます。

では肝心のアクセシブルコードの位置を視覚障害者はどうやって探り当てるのでしょうか。触ったときにわかりやすいものとして、さまざまな検討を重ねました。シールを貼ろう、突起物をつけよう、など。しかしシールはキャンペーン用シールだったり別の用途で外箱に貼られるケースがあります。また突起物は流通の過程で破損する恐れがあります。こうして採用されたのが窪みをつける、でした。

もちろん当事者不在の開発ではありません。NPO法人神戸ライトハウスの委員長・太田勝美さんが視覚障害者の困りごとを伝え、パッケージの形状やQRコードの読み取りテストまで行われているので安心です。新パッケージの「セデス」シリーズを購入された方は16mm×16mmの窪み箇所を指で見つけてみてください。

このあと重要になるのは視覚障害者の声

シオノギヘルスケア株式会社のこの取り組み、いかがでしょうか。同社の他の製品にも今後アクセシブルコード導入が予定されているそうですが、やはり視覚障害者が実際に購入して体験した声を発信するのが大事なのではないか、と思っています。

アクセシブルコードを付けたことで本当に視覚障害者にとって便利になったのかどうか。反応がなければその後の広がりも期待できません。翻って、視覚障害者が「これはいい」と声をあげた場合(もちろん感じたままで良いのですが)、医薬品以外にも波及していく可能性があります。

外箱に16mm×16mmのスペースさえ確保できれば、食品だろうと日用品だろうと、アクセシブルコードを付けられるのですから。シオノギヘルスケアの挑戦からはじまったエクスポート・ジャパン製アクセシブルコードの導入。今後ほかのさまざまな分野で取り入れられ、パッケージの窪みが当たり前になれば、きっと今以上に暮らしやすくなるでしょう。

これより下、2020年6月2日に発表されたセデスリニューアルのプレスリリースとアクセシブルコード掲載製品に関するPDFファイルになります。ぜひご確認願います。

20200602_セデスリニューアルプレスリリースFIX2

アクセシブルコード掲載製品

さらに、セデスHPにも製品についての詳しい情報がありますので併せてご覧ください。