取材記事

文房具好きなら知って欲しい、見えにくい子どもたちを笑顔にするノート

パティシエの女の子が描かれた表紙

大人のみなさん、文房具は好きですか?
ふだん特に興味がない人でもたまに文房具屋さんに行くとワクワクしますよね? 時間が経つのも忘れてあれこれ手に取ってしまったり。

子どもたちはなおさらです。お目当ての文房具以外にも目移りしていろいろ欲しくなるに違いありません。

でも目が見えにくい子どもたちにとって好きな文房具を選ぶ、というのは当たり前のことではありませんでした。
たとえばノート。
視覚に障害があると、みんなが使っているノートは罫線が薄くてうまく書けないのです。

じゃあ見えにくい、いわゆるロービジョンの子どもたちはどうすればいいのでしょうか。
無理して見づらいノートを使う? それともずっと昔からある弱視児童向けの無味乾燥なノートを使っていればいい?

見えにくい子どもたちだって見た目に楽しい、それでいて書きやすいノートを選びたい! そんな声に応えるノートがあること、ぜひ知ってください。

毎日使いたくなるノート、それがKIMINOTE

自身もロービジョンである、Cocktailz(カクテルズ)代表の伊敷政英さんが企画・製作・販売を手掛けているKIMINOTE。

一度ご覧いただければわかるとおり、まず表紙がとても可愛いです。
パティシエの女の子、愛らしいひつじ、それに和柄のものまで。勉強があまり好きではない子もつい使ってみたくなるデザインです。

そしてもちろん、中はとても見やすく書きやすいものになっています。細かいところまですべて子どものことを考え、実際に子どもの意見を聞いて作られているからです。

さらにKIMINOTEの大きな特徴は、ラインナップが豊富であること。表紙デザインのほかに、マス目の数、タテ書きヨコ書き、といくつものバリエーションの中から子どもたちが自分で選べるようになっています。
往々にして視覚障害者が使用するもの、というのは選択肢がないものになりがちです。1つでも用意してもらえるだけで十分でしょ?と言わんばかりに。

自分で選ぶ、自分で決める。これは誰にとっても大事なことです。

当初販売されていた「はやぶさ」と「ロケット」の表紙は、人気により売り切れ中とのこと。今のところ製作再開の予定は未定だそうです。

嬉しい声。意外な発見。子どもたちが教えてくれること

ロービジョンの子どもたちはKIMINOTEを使う前と後でどう変わったのか。2人のお子さんの事例をご紹介します。

算数の筆算、みなさん覚えてますか?
筆算するとき、1の位10の位100の位、と縦の位置を揃えて下へ下へ計算結果を書いていきますよね?これを目の見えにくい子どもが罫線の薄いノートでやると、位(くらい)がズレることがあるんです。頭ではやり方を理解しているし、計算自体は正しくできているのに、最後の答えが間違えていた。こんな悲しい思いをしている子どもがいます。でもKIMINOTEを使うと、マスがくっきり見やすいので位取り(くらいどり)のミスもしなくなったそうです。

別のお子さんは、表紙のイラストが可愛いねって晴眼のお友だちに言われたんだとか。自分の持ち物を褒めてもらえたことがすごく嬉しくて学校に行くのが楽しくなったそうです。今日学校でこんなことがあって嬉しかった!と元気にお子さんが帰ってきたら、家族みんなが幸せな気分になれますよね。

そして思わぬ発見もありました。発達障害や学習障害のあるお子さんにもKIMINOTEが力になれるかもしれないのです。目の見え方に問題がなくても、罫線が薄いと、そのマスの中に文字を収めるということを意識しづらい子どもたちがいます。そういう子どもたちも、くっきりと線が主張してくれると、あ、ここに文字を入れるんだ、と認識しやすくなるようです。

最初は想定していなかったことを、子どもたちから教わるというのはたくさんあります。

もっと多くの子どもたちに。そして大人たちの手にも

夢を与えてくれるKIMINOTEですがまだまだ夢の途中段階です。なぜなら、本当に必要としてくれるすべての子どもたちに行き渡っているとは言えないからです。

もっと製作コストを下げて低価格で販売したい。東急ハンズやロフトといった生活雑貨店や地域の文房具屋さんに置いてもらいたい。子どもたちに手軽に購入してもらうための課題はいろいろあります。ただ大手文具メーカーと違って、どれも簡単なことではありません。

現在の購入方法はネット経由もしくはイベントや展示会に出展されている際の対面のみ。詳しくは当ページ一番下のKIMINOTEサイトのリンクをご覧ください。

それでも文房具好きな大人たちがたくさんいる、この世の中。ちょっとしたきっかけで何か変わるかも、という期待はあります。

数年前ランドセルが海外セレブの間で大人気となりました。ハリウッド女優のズーイー・デシャネルさんが、日本のランドセルをカワイイと言って使い始めたところから火が付いたのです。可愛さならKIMINOTEも負けてません。SNSで目立ちたい女性の方に、ぜひ火付け役を狙って欲しいものです。

またビジネスマンなら、会議の時にさっとKIMINOTEを出してみるのもいいと思います。周りから怪訝な表情で「なにそれ?」って聞かれるかもしれませんが、そうなったらこっちのもの。「あぁ、KIMINOTE。知らないの? 目の見えにくい子どもたちを笑顔にするノートだよ」って返してください。絶対カッコいいです。

KIMINOTEが広がれば子どもも大人もきっと楽しくなれる。そう思いませんか?

興味を持たれた方は、KIMINOTEサイトへ