連載

なみの全盲ありのままライフ:「声」に耳を傾ける日々

前回は、「指は大事なアンテナ」ということについて書きました。
触りたい触りたいと、調子に乗って騒ぎ立ててしまったわけですが、本当に指から得る情報って私にとっては大きいんですよね。

でも、私の大事なアンテナは指だけではありません。耳もそうです。
まあ私の場合、耳に自信があるかと言われたら正直それほどない、というのが悲しいところなんですが。それでも耳を日々フル活用しているというのは確かなので、敏感にはなってきているのかなあという気がしています。たぶんですけどね。

そんな私が耳から得る重要な情報の1つ、それは「声」。
人と関わるときなど、声にはしっかり意識を集中させています。そこで今回は、「声」をテーマにお話ししてみようと思います。

子どもの頃の、声との関り

子どもの頃、私が手放せなかったもの。それは持ち運びのしやすい小型テープレコーダー。とにかく録音するのが大好きだったんです。みんなが写真を撮って楽しむのと同じような感覚だったのでしょうか、いろんな人の声や周りの音など夢中で録音して、何度も何度も聞いていました。

そのテープレコーダーを使って、ラジオ番組もどきを作ったりもしていましたよ。パーソナリティになり切って自分のトークを録音して。それを友達と交換するなんてこともしていたんですよね。懐かしい。そして恥ずかしい。

思えば子どもの頃、私は声に関する職業にあこがれていたんです。ラジオパーソナリティとか、声優さんとか。しゃべるのは大大大の苦手だったくせに、しゃべる仕事に就きたいなどと考えていたんですね。不思議なもので。

声を聞く仕事に

結局私は、しゃべる仕事ではなく、会社員という道に進みました。今は、日々在宅勤務でパソコン作業に励んでいます。

その仕事の内容というのは、主にテープ起こし。インタビューや講演会、会議など、録音された音声の内容を文字に起こす仕事です。子どもの頃に思い描いていたのとは違うけど、「聞く」という形で声に関わる仕事をしているわけですね。

この仕事、すごく単純な作業のようですが、これがもう大変なんですよねー。でも結構自分に合ってるんじゃないかとちょっぴり自信を持っていたりもします。何といってもテープ起こしに必要な「人の声に意識を集中させる」ということは、私が日常的にやっていることですからね。(って自慢気に言ってますけど、「主導権」が「10億円」に聞こえたりするぐらいだから私の耳もまだまだです)

そのテープ起こしで特に悩まされるのが、会議など発言者の多いもの。誰が発言しているのか特定する必要があるわけですが、聞きなれない声の場合は声を聞き分けるのに一苦労です。男女の区別くらいはつくけれど、みんな同じような声に思えてもう頭が混乱状態。

でも声にはそれぞれ特徴があるんですよね。だから、それをつかむために一人ひとりの声を何度も聞きます。これは普段の人との関りの中でもやっていること。特徴を覚えてしまえばもうこっちのものです。

とはいっても、テープ起こしでも日常でも、時々油断して声を聞き間違えることがあり…。同級生だと思って会話していたら実は先輩だった、みたいなことが普通に起こります。1歩間違えたら人間関係にひびが入っちゃうかもしれないという…。気を付けないと。

声からいろんなことが見えてくる

まあそんなこともあるわけですが、声の特徴をつかむという作業はなかなか面白いものです。声を聞いていると、その人のいろんなところが見えてくる気がするから。私の感覚なのであてになるかどうかはわかりませんが、いつも勝手にいろいろと想像を膨らませて楽しんでいるんですよね。いくつぐらいかとか、どんな体系なのかとか。「この人イケメンだな」とかね(笑)

声には性格も表れますよね。うまく隠している人もいるかもしれませんが。きっと私の声にもにじみ出ているんだろうなあ。マイペースなところとか、ぼーっとしてる感じとか。

私には、顔の表情を読み取ることはできません。それでも相手の声にしっかり耳を傾けてみれば、そこから感じ取れることってたくさんあるんじゃないか。私はそう思っています。

ライター:なみ