連載

なみの全盲ありのままライフ:私の「触ってみたい!」気持ち

触りたい。触ってみたい。とにかく触らせてほしい。
…って、こんなふうに書いたら何か怪しい人みたいですよね。出だしからすみません。

実は私、生まれつきの全盲でございまして。ものを目で見たことはありません。そんな私にとって、指というのは大事な大事なアンテナ。決して優秀な指というわけではありませんが、これが日々大活躍しているんですね。指先でいろんな情報をキャッチして生きているわけです。だからもう、触れるものには触って触って触りまくりたい。

ということで今回は、そんな私の「触ってみたい!」という気持ちについて語ってみようと思います。ちょっと変なことを言い出すかもしれませんが、よかったらお付き合いください。

何でも触ろうとした子ども時代

考えてみれば、物心ついた頃から、私は触ることへの情熱を存分に発揮していました。

頭の中の辞書に新しい単語が加わるとなれば、その意味と一緒に「手触り」も記録しておきたい。そんな気持ちがあったのだろうと思います。それで、できる限りいろんなものに触りました。

もちろん触りたくても触れないもの、触ってはいけないものもあります。そういうものに関しては絵本で勉強しました。触ってわかるような絵が掲載されている絵本があって、私はそれが大好きだったんです。何度も何度も読みました。でもやっぱり、どんなものでも実物に触ってみたい。その思いはいつも心のどこかにあったんです。

だから、何か音がしようものなら「あれはいったい何だろう?」と気になって、とりあえず手を伸ばしてみる。そうしてみんなを困らせる。そんなちょっと危険な子どもでした。

買い物に行けば、ピッピッピと鳴っているレジが気になる。歯医者さんに行けば、歯の治療にどんな道具が使われているのか気になる。叱られても、嫌な顔をされても、私の好奇心は暴走するばかりでした。

生き物にも興味があり、いろいろと触りたがりました。当時の私には怖いものなんて何もなかったのか、ゴキちゃんを前にしても平気で「触りたい!」と言い出すほど。そのときのことは今もよく覚えています。止められたけど、ちょっとだけ触ってしまったんですよね。ゴキちゃんに。ああ、何かあんまり思い出したくない…。

大人になってもやっぱり触ってみたい

それから二十数年経ち、そんな私も大人になりました。
今はもう、手あたり次第何でも触るなどということはさすがにやりません。

とはいっても、私の「触ってみたい!」は今も健在。すてきなもの、癒されるもの、楽しいもの。どんなものでも触って、その手触りを確かめたいんですよね。気になる音が聞こえてきたときには、手を伸ばしたくなるのを必死で我慢しています。

あ、でもどうしても触れないものも出てきました。例えば虫さん。絶対絶対無理です。怖くて仕方ない。近くにいるとわかればそれだけで冷静ではいられなくなります。昔あんなに興味津々だったのがウソみたい。
(虫を怖がる心理っていったい何なんだろうと、長年疑問に思っているのですが…)

それでも、たとえ怖いものだったとしても、その手触りが知りたいという気持ちはあるんですよね。手触りって、私にとってはすごく重要なんだと思います。

どんどん触って世界を広げたい

私には、まだまだ知らない世界がたくさんあるはず。だからこの指で、私にとっての新しい何かを発見したいんです。

私は食べるのが大好きですが、おいしい食べ物も指で味わいたい。そうすれば安心だし楽だし、おいしさも倍増するんじゃないかな、なんてひそかに考えているんですよね。

きれいな景色だって、指で楽しめたらすてきだと思います。きっと、目で見るのとは違ったよさがあるはずです。

今日も、私はこの指で、面白いことを探しています。
私の人生をより豊かにするために。

ライター:なみ

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