レクリエーション

視覚障害者と晴眼者が自然な形で交流できるのが町屋カフェ・さわさわ

町屋カフェ・さわさわの入り口の看板

観光客の喧騒から少し離れた、京都市中京区麩屋町通の町屋カフェ・さわさわ。NPO法人ブライトミッションによって運営されている就労支援の事業所で、視覚に障害を持つ利用者さんたちが、職員さんやボランティアの方々と一緒に、楽しく仕事をされています。

建物は京都らしさを感じさせる素敵な木造家屋。働いてる人たちは視覚障害者・晴眼者を問わずとてもアットホームで、店に入ると暖かく出迎えてくれます。初めてでも居心地がよく、落ち着ける空間です。今お客さんの比率としては観光客はそれほどいないとのことですが、もし一度でも来店すると、リピーターになる人も多いのではないでしょうか。

そんな町屋カフェ・さわさわに、2012年の立ち上げから携わってらっしゃる大谷政樹さん。お話を伺うと、最初から順風満帆というわけではなかったようです。

視覚障害者の働く可能性と晴眼者への理解が広がる場所

もともとの始まりは、視覚障害者と晴眼者の同士数名の熱い思いからでした。
視覚障害者の中には、就労の機会を得るのが難しく家に籠ったままになるケースも珍しくありません。これを解決しようと、みんなが集まれる場所として、町屋カフェ・さわさわがスタートしたのです。

とは言え、熱意だけではどうにもならないことがあるのも世の常。それはお金の問題です。当初は視覚障害者が働く純粋なカフェとしてスタートしました。もちろん支えてくれる晴眼者がいて成立するのですが、その方たちに支払う給与を捻出することができません。当面は交通費だけで協力してもらう形に。こんな無理な状態で継続できるのか…暗雲が立ち込めます。

このような危機に直面しながらも、思いを同じくする人たちの必死の努力で、
形を変えつつ、現在のような胡麻の販売事業なども手掛ける就労支援の事業所となったのです。

この胡麻の販売事業、店では利用者である視覚障害者の皆さんが袋詰め作業を行っています。一般的に晴眼者は、視覚障害者がカフェで働いたり胡麻の袋詰め作業をできるとは思っていないでしょう。
もしかすると、当事者の中にも自分にはできないと思い込んでる人がいるかもしれません。でもボランティアさんの力を借りながらも、音声で重さを教えてくれる計量器を使い、皆さんで連携しながら丁寧に仕事をされていました。

町屋カフェ・さわさわの胡麻の袋詰め作業

今では多くの視覚障害者の方がこの事業所に集まって来られます。そしてその中には、滋賀や福知山といった京都市以外の地域から通っている利用者さんも。いろんな方の頑張りがあって、視覚障害者が集まれる場所、に成長しました。

もうひとつ見落としてはならいない重要な成果があります。視覚障害者の実態というのは、晴眼者にはなかなか伝わりにくいもの。それがここでは、視覚障害者の働く姿を見てもらったり、直接会話をしてもらうことで、晴眼のお客さんに正しい理解が広まっているのです。この意義は計り知れないほど大きいのではないでしょうか。

自分に合った過ごし方で楽しいカフェタイムを

町屋カフェ・さわさわは、掲げた理念のとおり「視覚障害者と晴眼者の相互理解を通して社会貢献の実現を目指す」ことを遂行している事業所です。
ですが、その大義を別にして単なるカフェとして見た場合でも、とても満足できる場所になっています。

まず、ドリンクが美味しい。
聞くと、事業所の職員さんや利用者さんがみんなで下御領神社まで行って井戸水を汲んできているのだとか。近所の方も大勢汲みに来られるぐらい美味しい水で、この水を使って淹れていただくコーヒーは格別です。

次にイベントが豊富。火曜日と金曜日は胡麻の袋詰め作業の日なので、ほんのり香る胡麻の匂いを楽しむことができます。水曜日は三線(さんしん)の教室が開かれていて、楽器を習ってみたいという人へ気軽に始められるきっかけを与えてくれます。
そしてなかでも一番人気なのが月曜日の午後からおこなわれる音楽イベント。先ほどの三線の先生による演奏をはじめとして、週替わりでいろんな演者さんがギターやそれぞれの音楽で楽しませてくれます。

そのほかにも、綺麗な中庭を眺めながらゆっくり過ごしたり、利用者さんや職員さんとお話するのも楽しいと思います。日によってはイベントの出展準備作業を見れたりすることがあるかもしれません。たまたま取材の日は、皆さん熱心に試食用の黒いり胡麻を入れる外袋を作られていました。これはノベルティとしていろんなイベント会場で配布するのだそうです。
町屋カフェ・さわさわのメニューとノベルティとコーヒー

なにもなくて静かな日。イベントや作業で大賑わいの日。そのときどきで違う楽しみ方ができるのも、町屋カフェ・さわさわならではだと思います。

興味を持たれた方はぜひお店に足を運んでみてください。

番外編・よし笛の音色に癒された昼下がり

とても気さくな利用者さんたちからお誘いを受け、店での取材のあとによし笛を聴きに行きました。
みなさんはよし笛、ご存知ですか?琵琶湖周辺のヨシの木で作られた、リコーダーよりも一回り小さい滋賀県の郷土楽器だそうです。とても綺麗な音色で心に染みわたります。

演奏は、この方も視覚障害者の片山和子さん。京都市役所前駅の地下街で月に2回ほど演奏されています。場所を提供されているのは京都市交通局。サブウェイ・パフォーマーと銘打って日替わりでいろんな人がいろんな音楽を奏でるスペースになっています。
よし笛の演奏者・片山さん

ちなみにこの日の片山さんのセットリストは以下のとおり。

  1. 乾杯
  2. 埴生の宿
  3. アニーローリー
  4. 千曲川
  5. ふるさと
  6. 荒城の月
  7. 琵琶湖周航の歌

町屋カフェ・さわさわの月曜の音楽イベントに、サブウェイ・パフォーマーのミニライブ。たまにはガイドブックにない京都巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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